
2024-02-22
インタビュー
エンジェル投資を通して自分が見れなかった景色を見たい
エンジェル投資家 宮本邦久さん
Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はエンジェル投資家の宮本邦久さんにお話を聞きました。
宮本邦久
株式会社ネットマーケティング創業者・エンジェル投資家
1998年、慶応義塾大学総合政策学部(SFC)卒業、日商岩井(現、双日)入社。2000年、同社から分社独立したベンチャーキャピタル(ITX)へ転籍。2004年、(株)ネットマーケティング創業。代表取締役就任。2012年、婚活アプリ「Omiai」をリリース。2019年、東証一部上場。2022年、米国ベインキャピタルへTOB。同社代表取締役退任。エンジェル投資家としての活動を本格稼働。投資条件や投資実績がわかる!宮本邦久さんの投資家プロフィールはこちら👇(顔写真をクリックするとプロフィールを閲覧できます。)
宮本さんが審査員をされる「QWS STARTUP AWARD 2026」の応募は2026年1月13日(火)まで!

まずは、宮本さんについて教えてください。
エンジェル投資家の宮本邦久です。2024年2月時点での投資総額は3.6億円で、これまでに587社の起業家と面談を行い、21社に投資しています。2030年までに投資総数60社、投資総額10億円を計画しています。
今までのキャリアとしては、2004年に株式会社ネットマーケティングを社長として創業し、toBの広告事業を18年間、toCのOmiaiを2012年にリリースし、10年ほど事業運営をしてきました。2017年には東証ジャスダック市場、2018年に東証二部、2019年に東証一部と階段を駆け上がってきました。
2022年にネットマーケティングの社長を退任し、元々やりたかったエンジェル投資家に転身しました。2023年は1年間で201社の起業家の方にお会いし、5社へ出資をさせていただきました。

宮本さんがエンジェル投資を始めたきっかけは何ですか?
中学生の時に映画『ウォール街』を見て、投資家になりたい!と思ったのがきっかけです。主人公である投資家(ゴードン・ゲッコー)がとても自由でかっこよく、強烈に惹かれたのを覚えています。
以来、ずっと投資家になることを夢見て、就職活動では投資銀行を回りましたが、朝7時に出社するんだよと人事担当者から聞き、大学生時代の起床時間が基本的に朝11時くらいだったので「それは無理だ」と諦めてしまいました。(笑)投資家になりたいという気持ちはありつつ、海外も好きだったので最終的には商社に入りました。
その後はベンチャーキャピタルのITXへ転籍しました。ITXでは投資の仕事に加え、投資先の新規事業の責任者を任せてもらったりコンテンツ開発をさせてもらったりと、事業家サイドも投資家サイドも経験しました。
その中で、25歳くらいの時、「やっぱり投資家になりたい!自分のお金で好きなように投資できるようになりたい!」と、エンジェル投資家になることを決意しました。そのためには起業して上場することが一番の近道だと判断し、2004年にネットマーケティングを立ち上げました。
数多のハードシングスを乗り越え上場を果たし、2022年にようやく専業エンジェル投資家として活動を始めました。

中学生の頃からの夢を叶えられたんですね!なってみてどうですか?
それはもちろん最高です。人生の至福の時を迎えています。
自分の頭で考えて自分の責任で投資ができ、自分の個性を発揮できていて、非常に自分らしく自由に生きられていると感じます。
実は2018年から起業家に会い始め、2022年にネットマーケティングを退任するまでに360社ほどの起業家とお会いしていました。投資家としてやっていけると確信したタイミングで退任できたわけですが、昔から思い描いていた『24時間365日、自分で自分の時間を支配できる生活』そのものなので、本当に充実しています。
現在、私は自らの専門領域として、ITやWEBサービス分野に特化し、toBならコンパウンド型SaaS事業、toCなら新市場プラットフォーム事業に出資をしていますが、今後はもっともっと領域も規模も広げていきたいです!

宮本さんはどのように投資を決めていますか?また、投資先とはどのような関わり方をしていますか?
市場やスケーラビリティ、参入タイミング、マーケットフィット、起業家の人柄評価、それに紐づく事業成長の可能性を総合評価することで、投資の意思決定を行っています。
具体的には、まず大前提として将来上場を目指していること。主にユニコーン候補に絞った投資活動を行っています。市場規模が5年後に1000億円を超えるような、新市場をテーマにした事業を展開しているかを見ています。
ビジネスモデルとしては、ユニットエコノミクスが確立される深い解像度があり、将来的に、業界1位となるポテンシャルがあるかどうか。BtoBでは営業力、BtoCではマーケティング力のポテンシャルがあるかどうかを見ています。
チケットサイズですが、年間6社に合計1億円を投資しようと決めています。2,000万円×3社、500万円×3社、既存の投資先にフォローオン投資を2,500万、という内訳です。2,000万円を出資する3社はVCにも出資してもらえそうな堅実な企業であることが多いです。
一方で500万円を出資する3社に関しては、まだ荒削りでVCからの資金調達は難しいかもしれないが大きな成長を遂げる可能性があると感じるハイリスクハイリターンな企業です。「こういう案件こそ、個人でリスクをとれる私のようなエンジェルが投資しなきゃ誰が投資するんだ」という思いで出資しています。
関わり方は基本的にハンズイフですが、何がシードステージの投資先へ役に立てることなのか、常に模索し続けています。壁打ち、顧客紹介、メンタルケアなどいろいろなニーズの方向性を読み取ってきましたが、資金調達が難航するこのご時世においては、他エンジェルやVCへの橋渡しが最も求められていると感じています。
昨年はソーシングだけでなく、VCやエンジェルの皆さんとのネットワーク構築に注力しました。今後もっと広げていき、起業家が本業に集中できる環境を作れるようバックアップしていきたいです!
魅力を感じる起業家はどのような人ですか?
私が見れなかった、ユニコーンの世界を見せてくれそうな人ですね。
私はユニコーンをエベレスト登山によく例えます。登山をしていて、偶然エベレストに登れた!ということがないように、起業をしていたら偶然ユニコーンになれた!ということはないと考えています。
エベレストを登頂するためには、体力や装備、十分な期間、資金、運が必要です。それと同じように、ユニコーンになるためにはあらゆるハードシングスを乗り越える鋼のメンタルと体力、魅力ある事業領域と利益計画、大型資本政策、優秀なチーム、運といった「覚悟」と「準備」が必要です。この難易度を"本気で"目指したいと思う起業家は、全体の中でもごく少数な気がしています。
私は上場の山には登れましたが、ユニコーンの山には登れませんでした。
エンジェル投資家として、もちろん上場を目指す起業家に投資をしていきますが、その中でも、ユニコーンの景色を見せてくれる覚悟を決めた起業家には、まだ準備は粗削りでも、どんどん出会っていきたいと考えています。

覚悟の他には、社長であればパッション・熱狂、視座の高さ、アイデア、ビジョン、専門性、可愛げ、チームワーク、マネジメント力を見ています。創業メンバーを見るポイントは、視座の高さ、ピボット力、失敗も前提の行動力、エクセキューション力、GRIT力、チームで成果を生み出す思想、そして最も重要なのが人として誠実かどうかです。
今後の展望とスタートアップ起業家へのメッセージをお願いします!
上場企業社長からエンジェル投資家に転身する新たなロールモデルを作りたいです。
日本は上場企業の社長がエンジェル投資家に回るパターンがまだまだ少ないですが、エンジェル投資マーケットが日本の350倍もあるアメリカでは、そのキャリアが広く浸透しているんです。
0→1が得意な「起業家」、1→10が得意な「事業家」、10→100が得意な「経営者」とそれぞれタイプが違うので、必ずしも同じ人がずっとやり続ける必要はないと思っています。私の場合は、ネットマーケティングの0→1→10まではやりましたが、10→100は他の人がやった方がもっと会社を大きくできると判断し、退任してエンジェル投資家に転身しました。
起業家や事業家は、適切なタイミングで経営をバトンタッチしても良いと思います。0→1や1→10が得意な我々が、次世代の起業家をサポートする方に回ることで、必ずスタートアップエコシステムの成長が加速するからです。
そう考えるからこそ私自身が今度はエンジェル投資家として成功し、その姿を見せていくことで、上場企業の社長が「エンジェル投資家という選択肢がこれからいいかも!」と思ってもらえるように頑張っていきたいです。そのためには投資先に大成功してもらう必要があるので、どんなサポートをしたら投資先が大成功するのかを日々模索し続けています。

起業家へのメッセージですが、私自身20代の頃に起業し、これまで本当に様々なハードシングスがあったので、その乗り越え方をぜひお伝えできればと思っています。ユニコーンの山に登るのだという覚悟と準備がある、視座の高い起業家の方はぜひご連絡ください。
私は投資家になることを中学の頃から夢見ていましたが、それはきっと、幼い頃から人に指示されることが苦手で自分らしく自由に生きたいと願う中、『ウォール街』の主人公のとてつもなく自由な生き方を見て「これだ!」と確信したからなんだと思います。
人によって幸せの定義は違います。私は、自分にとっての幸せとは何かしっかり見定め、その答えがエンジェル投資家でした。
起業家の皆さんは、ぜひ、自分の幸せは何なのか真剣に見つめて、向き合って、行動していってください。私も、ユニコーンの景色を見るという次なる夢を追い続けます。
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